私たちの住むこのクライストチャーチで、そして我が愛する祖国日本で、相次いで大震災が起こった。正直言って今でも、ぬぐいきれない不安と、大きな心の負担を背負いながら日々を送っている。ただ、そんな中で、神様から大切なレッスンをいただいた気がする。
水道・電気・電話が使えず、多くの店が閉じている中、非常にシンプルな生活を余儀なくされた。目に見えるものがことごとくくずれさった後、そこに残されているのは、ただ途方に暮れている人々であった。同じ災害に遭った者同士、提供できるものはほとんどないが、ただ一緒にいてあげることだけはできた。話を聞いてあげることはできた。昨日まで『私事』にかかりきりであった時間を、今は他の人々とたっぷり共有することができる。そして改めて悟った。「大切なのは、イベントや能率性ではなく『人』なのだ」と。
震災後4週間が経ったが、我が家の水道と電話は未だに復旧していない。けれども多くの友人・知人たちが「シャワーしにおいで」「洗濯してあげるよ」「今夜の夕食はぜひ我が家で」と声をかけてくださる。その度に「私たちは本当に『愛し合うため』に生まれてきたんだなぁ」と思い知らされる。「自分1人で生きていける」と思いがちな私たちにとって何と大切な教訓であろう。
起こってしまったことはどうしようもない。失われてしまったものをいつまでも悔やんでいたら、今目の前に与えられている大切なものをも見失ってしまう。「何よりも『人』が大切」このことをしっかりと胸に刻んで、1日1日を生き抜いていこう。
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